Project

泉陶料の取り組み

IZUMIサスティナブル粘土

「IZUMIサスティナブル粘土」は、陶芸を行う上で少なからず出てくる削り粘土を再生し、商品化したものです。陶土不足が心配される近年、陶土屋として限りある資源を有効に活用し、循環するプロジェクトとして行っています。

<きっかけ>

以前から作り手であるお客様との何気ない会話をしている中で、削りカスを引き取ってくれる原料屋が少なくて…。泉陶料では、粘土の再生やらないですか?とのお声をいただくことがありました。

規模により多少量の違いがありますが、少なからず出てくる削り粘土カスやドベ、作り損じの粘土・・・。陶芸をやっていく上でどうしても切り離せない部分であります。

普段からご自身で粘土の再生をされている方も多いかと思いますが、その一方で、趣味で陶芸をされている方や始められて間もないの方の中には、粘土の再生やくず土の廃棄の仕方が詳しく分からないといったお話も聞くことがあります。

また、粘土の再生にも使える土練機(どれんき)という機械がありますが、メンテナンスの事や機械を置くスペース、お値段の事を考えると、なかなか簡単に取り入れるにはハードルが高いとのお声もありました。

ただ、やはり普段からこの粘土を再生する作業は、どうしても時間や手間を取られてしまうもの。特に仕事として普段から陶芸をされている方には、作業コストにも関わってきます。

泉陶料では、そんなお客様とのちょっとしたやりとり中で、時間や手間がかかる粘土の再生の工程を陶土屋が担うことで、作り手の作業コスト効率が上がるのではと考え、また近年の粘土不足が心配される中で、陶土屋として何かできないかという以前からの想いも相まって、再生土の商品化というプロジェクトをスタートするに至りました。

<製造工程について>

■ 削り粘土をチェック
まずは、削り粘土以外のものが間違って混ざっていないか徹底的に確認します。今はほとんどなくなってきましたが、最初の頃は削りに使うカンナの金具部分や作業ゴミなどが中に混ざっている事がありました。もしそのまま機械の中に入れて進めてしまうと故障の原因となるため非常にリスクが高く、その為ここは全て手作業で確認をしていきます。地道な作業ではありますがとても大切な工程で、やはり時間と手間がかかってしまう部分でもあります。

■ 粘土を粉砕
削ってからしばらく経った削り粘土は、ゴミなどが中に混ざっていないか手作業で確認した後、微粉砕しながら調合する機械「ボールミル」で石と水と一緒に数時間回転させます。

■ 不純物を取り除く
泥の状態でふるいにかけ、不純物を取り除きます。

■ 脱鉄作業
粘土の中にある鉄分を取り除き、貯蔵タンクで均一な濃度になるよう攪拌します。

■ 圧力を加えて脱水する
「プレス機」を使い圧力を加えて脱水します。

■ 土練機で練り上げ
水分を調整して使用しやすい硬さまで「土練機」で練り上げます。真空土練機を使って粘土を10kgずつビニールに梱包していきます。

<これから>

泉陶料では、「IZUMIサスティナブル粘土」を陶芸家のお客様以外にも、学校や老人ホームのような施設・企業様にも気軽に活用してもらえたらと思っています。また販売だけでなく、いずれはこの「IZUMIサスティナブル粘土」を活用頂いて作品展の開催なども考えています。

削り粘土の回収については、現在まだ受付が可能な体制が整っていないので、仕組みなどを検討している段階です。有料会員制などお客様に還元できるようなスキームを構築してから、具体的に発信して進めていきたいと考えております。

最後に、陶土屋として少しずつではありますが、陶芸の未来や地球環境の事にも目を向けてゆき今できることをしっかり考え、アクションを起こして行けたらと思っています。

No.10

IZUMIサスティナブル粘土

陶土不足が心配される近年、陶土屋として限りある資源の有効的な活用を目指し、循環するプロジェクトの一環として、器作りの工程の際に出る削り粘土を再生・商品化を進めている泉陶料オリジナルのサスティナブル粘土です。